津軽言語学
津軽弁辞典
た
- ~だっきゃぁ【da’kkya(:)】
- 連体(人・物)は。【例】わぁ・だっきゃ、やぁ=私・は、遠慮するよ。【参】「てにをは」のやや強調した「は」。
- だい【da’i】
- 名誰。【例】だい・だばぁ=誰・なの。
- たげ【ta(n:)ηe’】
- 副だいぶ、すごく。力説するときは、「ん」に力を入れる。【派】たげだ(形動)=随分な。【同】わや。
- たげぇ【tage’(:)】
- 形<グ>高い。【対】ひぎぃ。
- たげだ【ta(n)ηeda】
- 形動だいぶ、随分な。【派】たげ(副)=すごく。【例】たげだ奴だ=随分な奴だ。【同】わやだ。
- たげだば【taηedaba’】
- 副大方は、大概は。【例】たげだば・らぐさ・なった=だいぶ・楽に・なった。
- たげのご(筍)【tagenogo’】
- 名タケノコ。津軽では、細い「もうそう竹」のタケノコをさす。
- たげのごとり(筍採り)【tagenogotoli’】
- 名タケノコを採りに行くこと。タケノコを採りに行く人。
- たずがる【ta(n)zuga’lu】
- 動<ラ五>(物の支えに)掴まる。【例】やっとごさ、たずがって・あさがいる=やっと、掴まって・歩ける。【同】たもずがる。
- ただでねぇ【t`a(n)da’dene(:)】
- 形<グ>大変な様子、簡単にいきそうもない様子。
- たぢはっこ(立ち端っこ)【tazihakko’】
- 名出発の時などに、立ったまま簡単に杯を交わすこと。
- たづ(龍)【tazu’】
- 名鱈の白子。形状が龍に似ているため。
- たづがる【tazuga’lu】
- 動<他・五段>掴まる、しがみつく。【参】「たもづがる」の省略形。
- たでる【tade’lu】
- 動<他・下一>(生き物を)飼う、育てる。
- たな【tana’】
- 名(赤ちゃんをおぶる)おんぶ紐。【参】昔は古くなった三尺や、晒しを使った。
- たなぐ【tana’g】
- 動<他・五段>持つ。【例】そぢ・たないで・け=そっちを・持って・下さい。
- たのくろ【tanokulo’】
- 名田んぼのあぜ道。
- たのめす(頼めす)【tanome’su】
- 口語宜しくお願いします。【同】たのめすじゃぁ。
- たのめすじゃぁ(頼めすじゃぁ)【tanome’suja(:)】
- 口語宜しくお願いします。【同】たのめす。
- だばって【daba’tte】
- 口語でも、しかし。【例】だばって、なぁ、そ・したっきゃ=でも、君が、そう、言ったんじゃないか。
- だはんで【da’hande/daha’nde】
- 口語だから。【例】だはんで・しゃべった・っきゃ=だから・言った・じゃない。
- たぶ【ta(n)bu’】
- 名尻の肉の部分、臀部。【同】けっつたぶ。
- たまな(玉菜)【tama’na】
- 名キャベツ。【参】標準語でもキャベツの異称。
- たもづがる【ta(n)mozuga’ru】
- 動<他・五段>しがみつく、(体を支えるためにものに)掴まる。【同】たづがる。
- だら【dala’】
- 名小銭。「だらっこ」の丁寧形。
- たらす(垂らす)【tara’su】
- 動<自・五段>(尿や大きい方を)漏らす。【派】ばばたらし。
- だらっこ【dala’kko】
- 名小銭。【略】だら。
- だんこぬげる【danko’nugelu】
- 動<自・下一>腰が抜ける。【例】のみすぎで、だんこぬげで・まった=飲み過ぎて、腰が抜けてしまった。
- だんだに【dannda’ni】
- 口語段々と、徐々に。
- だんぶり【da’nbuli】
- 名トンボ。
ち
- ちぇ【che’】
- 形<グ>強い。【対】よえぇ。【同】つえぇ。
- ちかしぃ(近しい)【chikasi(:)】
- 形<シグ>馴れ馴れしい、親しい、仲がよい。
- ちゃかし【chakashi’】
- 名慌て者、おっちょこちょい。
- ちゃっけぇ【chakke’(:)】
- 形<グ>小さい。【同】ちゃっぺぇ。【対】でげぇ/でっけぇ。
- ちゃっぺ【cha’(p)pe】
- 名子猫。
- ちゃっぺぇ【chappe’(:)】
- 形<グ>小さい。【同】ちゃっけぇ。【対】でげぇ/でっけぇ。
- ちゃなべっこ【chanabekko’】
- 名①ドングリ。②ルールに入れないで遊びに参加させる子供。
- ちゅうか(中華)【chu’:ka】
- 名中華そば、ラーメン。津軽のラーメンは煮干し出汁で細縮れ麺。五所川原方面では天ぷらがのった「天中華」がある。
- ちょしょじ(長勝寺)【choshoji’】
- 名津軽藩の菩提寺・長勝寺。
- ちょす【cho’su】
- 動<他・五段>いじる、さわる。【例】こご、あどで・かだづげる・はんで、ちょすな=ここは、後で・片づける・から、触るな。
- ちょっちゃべ【cho’(c)chabe】
- 名おしゃべりな人。
- ちょっとごま【cho(t)togoma’】
- 名少しの時間。【参】いっとまが=あっという間。
つ
- つえぇ【tsue’(:)】
- 形<グ>強い。【対】よえぇ。
- つがる(違る)【tsuηaru’】
- 副違う。【例】この・つがるづげ、あめじゃぁ・はんで、つがるんず・けぇ=この津軽漬け、腐っている・から、違うのを・ください。
- つけっと【tsuke’tto】
- 副→つけらっと
- つけらっと【tsukela’tto】
- 副知らない振りをして、素知らぬ顔で。
- っちゅうが【cchu(:)ga】
- 口語というか。【同】ってすが。【例】っちゅうが、まいべ=というか、だめでしょ。
- ってすが【tte’suga】
- 口語というか。【同】っちゅうが。
- つぺ【tsuppe’】
- 名(家や部屋などの)鍵。
- つぼけ【tsu(n)boke’】
- 名アホ。【派】つぼけだ(形動)=アホな。
- つぼけだ【tsu(n)bokeda’】
- 形動アホな。【派】つぼけ(名)=アホ。【例】つぼけだ奴だ=アホな奴だ。
- つらつぎす【tsulatsugi’su(:)】
- 動<他・五段>顔をしかめる、にらむ。
て
- てかり(禿り)【tekali’】
- 名傷跡などが光る状態。頭の部分禿。
- てぎだ【te’ηida】
- 形動大儀だ、面倒だ。
- でげぇ【dege’(:)】
- 形<グ>(小便や大便がしたい。【例】しょんべ・でげぇ=小便がしたい。
- でげぇ【dege’(:)】
- 形<グ>大きい。【対】ちゃっけぇ/ちゃっぺぇ。【音】でげぇ[dege'(:)]=(便が)したい。
- てけぇ(手痒ぇ)【te’ke(:)】
- 形<グ>見ていられない程歯がゆい。【例】なんぼ・てけぇ・ばな=なんて・歯がゆい・んだろう。
- てご【te’go】
- 名太鼓。【音】てご[tego']=箸。
- てご(梃子)【tego’】
- 名箸。【音】てご[te'go]=太鼓。
- でっけぇ【de(k)ke(:)】
- 形<グ>大きい。【対】ちゃっけぇ/ちゃっぺぇ。【同】でげぇ。
- でっただ【de’ttada】
- 副大きな。【例】あの・でっただ・かんばん、なんだば=あの・大きな・看板、何だろうね。
- てっぺぇ(手一杯ぇ)【teppe’(:)】
- 副精一杯、力一杯。【例】きょうだば、てっぺ・のめ=今日は、目一杯飲め。
- てらっこ【te’lakko】
- 名(昆虫の)蝶。
- でれき【dele’ki】
- 名バーベキューなどで炭を掴む火ばさみ。
- てろてろど【telotelodo’】
- 副ふらふらと酔っている状態。【例】てろてろど・よる=ふらふらとするほど・酔う。
- てんがくばさま(典薬婆様)【tenηagubasama’】
- 名産婆さん。
- でんち(電池)【denchi’】
- 名懐中電灯。
と
- どうしょもねぇ【do(:)shomone’(:)】
- 形<グ>どうしようもない。【同】しゃぁねぇ。
- とげ【toηe’】
- 名(魚の)骨。
- とげぇ【to(:)ge’(:)】
- 形<グ>遠い。【対】ちけぇ。【例】えぇ・とぉげして・よぉ=家が・遠くて・なぁ。
- どごだかんだ【dogodaka’nnda】
- 名どこでもかんでも。【例】どごだかんだ・さ・おぐ・な=どこにでも・置くな。
- どごだり(何処辺り)【dogoda’li】
- 名どこらへん。【例】そい、どごだり・だばぁ=それは、どのへん・ですか。
- どごだり(何処辺り)【dogodali’】
- 名どこにでも。【例】どごだり・さ・おぐ・はんで、ねぐなる・んだねぇ=どこにでも・置くから、無くする・んだよ。
- どした【dosita’】
- 副①どんな、どんなに。②どうした。【例】どした・やづでも・やぁ=どんな・奴でも・いいよ。
- どしちゃぁ?【dosicha’:】
- 口語久しぶりだね、どうしていましたか?
- どしちゃぁばぁ?【dosicha:ba’(:)】
- 口語→どしちゃぁ?
- としょり【tosholi’】
- 名年寄り、老人。【複】としょりんど[tosholi'ndo]。【対】わげもの。
- としょる(年寄る)【tosyo’lu】
- 動<ラ自五>(食物が)古くなる。(人が)年をとる。
- どす【dosu’】
- 口語どうする。【例】今日、これがら・どす・がっちゃ?=今日、これから・どうする・つもりですか?
- とずぐ【to(n)zu’gu】
- 動<自・五段>届く。【例】にもつ、ばげ・とずぐ・びょん=荷物、夜に・届く・でしょう。
- どすば【dosuba’(:)】
- 口語→どす
- どすべ【dosube’(:)】
- 口語どうしよう。【例】わいぃ、どすべ、どすべ=あぁ、どうしよう、どうしよう。(感謝の意味)
- どせば【doseba’】
- 口語どうしたら、何で。【例】どせば、そぅめぐせぇかっこ・すにいいのよ=どうすれば。そんなに恥ずかしい格好・できるのよ。
- どだればぢ【dodaleba’zi】
- 名弘前で行われる夏祭り「どだればち祭り」の略。
- どぢ【do’zi】
- 名尻。【寧】おどぢ(名)。
- とっくらがす【tokkuraga’su】
- 動<他・五段>ひっくり返す。【派】とっくらがる(自)
- とっくらがる【tokkuraga’ru】
- 動<自・五段>ひっくり返る。【派】とっくらがす(他)【例】そう・のまへれば、とっくらがって・まるね=そんなに・飲ませると、ひっくり返って・しまうよ。
- どった【dotta’】
- 副①どんな、どんなに。②どうした。【例】どった・やづでも・やぁ=どんな・奴でも・いいよ。
- どっちゃ【do’ccha】
- 副どこに、どちらに。【例】どっちゃ・しまった・っきゃ=どこに・しまった・っけなぁ。
- とっちゃ(父っちゃ)【to’ccha】
- 名お父さん。【対】かっちゃ=お母さん。【同】あや、おど。
- どってんすぅ【dotte’nsu(:)】
- 動<自・五段>おどろく、たまげる、びっくりする。【例】わいは、どってんしてまったじゃぁ=あぁ、びっくりしたよ。
- とっぱる【to(p)pa’l】
- 動<自・五段>閉まる、塞がる。【他】とっぺる=閉める。
- とっぺる【to(p)pe’l】
- 動<他・下一>閉める、塞ぐ。【自】とっぱる=閉まる。
- どなが(胴中)【do(:)naga’】
- 名胴回り、ウエスト。
- どひゃぁ【dohya’:】
- 口語どうして、どうしたら。【同】どせば。【例】どひゃぁ・いが・わがんねぇ=どうすれば・いいか・わからない。
- どらはんど【do’lahando’】
- 副どんなに、どれほど。【例】どらはんど・くぅしたが=どれほど・心配したか。
- とらぼ【tolabo’】
- 名(昆虫の)バッタ。
- とれぇ【tole’(:)】
- 形<グ>(スピードが)遅い。【同】おせぇ。
- どんず【do’nzu】
- 名尻。京都のバスガイドに「どんず=さようなら」と教えたら、別れ際涙ながらに「どんずー」と言った逸話は有名。
- どんだ【donda’】
- 口語①(相手に聞く場合)どうだ、どんな様子だ?②(呆れて)なんてことだ。
- どんだっきゃ【donda’kkya】
- 口語①(相手に聞く場合)どうなの?②(呆れて)どうなのよ。
- どんだばぁ【do’(:)nda’ba】
- 口語①(相手に聞く場合)どうだ、どんな様子だ?②(呆れて)なんてことだ。
- どんだんず!【do’(:)nda’nzu】
- 口語①(相手に聞く場合)どうなの?②(呆れて)なんてことだ。